交感神経節
交感神経節
高校を出て専門学校へ入学し、そのときから都合6年間横浜の修業先でお世話になりました。
前にも少し書いたとおり、はっきり言ってダメダメ研修生だった私は、先生のおっしゃることをきわめて狭い理解の中で解釈しようとしていたため、大切なことを(ほとんど)ことごとく見逃してしまっていたようです。
その中で今になって「きちんとやっておけば良かった」と思うことの一つに、交感神経節の刺激および緊張緩和というものがあります。
自律神経系は体性神経と発生学的に相同で、相互に強く影響し合っています。
正確には脊髄の前根、後根から出た神経は、交流地点でおのおのペアになって前枝、後枝としてそれぞれの支配領域に向かいます。
このとき、合流地点近くで交通枝を出して交感神経節とシナプスを作っています。
ここでエネルギー消費に関するアクセラレーションの指示を受け取ります。
また同時に体性神経によるフィードバックも受付け、制御ループの一角を形成します。
その中で胸部交感神経節は内臓の機能に直接的かつ重大な影響を及ぼすセグメントでもありますので、これを中心に少し説明を加えたいと思います。
ここはストレス性のシステム異常ときわめて密接に関係している(ように思える)ため、臨床上特に問題を検出する頻度が高い部分でもあります。
まず自律神経系の速効性ゆえなのか、血管を含む循環系への影響が大きく、フィードバックとしての心肺機能サージによる負荷が蓄積しやすいようです。
すなわちストレスに対してすごく敏感な部位であると言うことになります。
これが頻繁に起きると硬膜の緊張をコントロールしている硬膜枝の反応も不十分になってきます。
このときあわせて当該神経の支配下にある脊柱周囲の筋肉に緊張が強くなってきます。
そしてこの付近を栄養している血管群にも負荷がかかってきます。
この負荷が血行障害を起こすきっかけとなり、交感神経節に「もっとエネルギーを使ってじゃんじゃん血行を促せ!」という命令を出します。
しかし命令が統合的制御を乱す結果となり、今まで以上に血管に負荷をかけます。
この繰り返してにより、部分的にしかし強い血行不良が起き、ますます緊張と制御不良が加速します。
治良を必要とする人たちのうち、半分くらい(と言っても良い)はこの緊張を緩和するだけでもずいぶんと楽になります。
当時私達はその方法論として「一般操作」と呼ばれるマニュピレーションを習いました。
脊柱の脇の緊張を和らげる、とても気持ちの良い方法なのですが、頭でっかちだった私はその方法の意味をわかろうとせず、練習に身が入りませんでした。
あれを完全にものにできていればもっと早く現在の治良成績を確保できたはずですが、後の祭りとはこのことを言うのでしょう。
血行が悪い>>その原因を取り去る、と言う考え方は間違ってはいません。
一方、血行が悪い>>血行を促す、という結果から原因を補正するアプローチも正しい方法の一つであるわけです。
何となれば生き物には自分で自分を元に戻すためにシステムが備わっているので、そのきっかけ作りを行い回復を促すというのは理にかなっているからです。
ただし交感神経系の緊張が常時おきている人の場合、興奮を維持するために使うエネルギーは莫大な量です。
このような人たちが異常なペースで増えています。
なのであまり強く刺激をすると、回復できなくなり逆効果になることも十分考えられます。
実際強いマッサージや強制を受けると、それが原因で症状を悪化させるケースがしばしばみられます。
この部分のセルフケアとして「肩甲骨をよく動かす」があります。
肩をぐるぐる回したり、胸を張ったりすぼめたりすることによって肩甲骨がいつもより大きく動きますが、これを呼吸を止めないようにして数分繰り返します。
そうすると特に大小の菱形筋が動き出しますが、これが消化器系の反応を促し、結果として副交感神経系を活発にするきっかけとなり得ます。
交感神経系の疲弊を伴うタイプの問題にこれはとても良い作用を促すでしょう。
簡単ですから是非お試しになってください。