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漢方 2

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漢方 2

そしてより私達に近く、影響力のあるのが五行による「相生相殺」であり、これによって私達の体も制御されていると考えた人がいました。
その人はすべての物質を五行で解釈し、その相互影響においてもやや強引な解説を試みたのです。
しかしつぶさに観察してみると、多少の逸脱はありながらも代替五行論が示すとおりの反応が見られ、まあ“大体”正しいとされてきたと言う経緯があります。

このようにして生まれた考え方で草木や鉱物などを分類していって、さらに実際に口に入れたり体に塗ったりしながら、その効果や毒性を記述してできたのが漢方の原型となりました。
有名なところでは「傷寒論」などがあり、今もテキストは入手可能です。

ですから科学と言うにはほど遠いながらも、ある種の経験則の集大成と言える体系を構築してきたわけです。
それが日本にも何らかのつてで伝わり、日本人が得意とする改良を加えながら、今日私達が目にする漢方が徐々に作られてきました。

その改良内容ですが、中医学と同じく「証をたてる」ことにあり、しかしその診断方法や治療方法は大陸の方法とはかなり違ったものになっています。
証というのは体の方向性や状態を示すもので、マクロビオティックのところでも出た「陰陽の程度を決める」にも似ています。
ただ陰陽論とは違い、もう少し細かい分類を行い、元から持っている体質も合わせて五行により診立てます。
そしてその時点で必要なもの、将来的に必要なものを考え、治療方針を決めます。

とはいえそこはそれやはり民間とは言え治療養生を標榜しておりますから、大局的かつ症状に対するカウンター的アプローチを織り交ぜながら治療を進めてゆきます。

当然ながらクライアントの話をよく聞き、状態をつぶさに観察し、などは標準医学と変わりません。
しかしその着目ポイントや診立ての内容、そこから導き出される治療方法などはかなり独自のものです。

そうやってあれこれやりながら「証」を決めるわけですが、大体次のような感じで決められます。

・冷えているのか、熱を持っているのか。
・それはどの経絡において顕著なのか。
・そのとき経絡を流れるものは充実したものなのか、虚(うつろ)になっているのか。
・どの性質(木、土、水、火、金)が顕著に問題を起こしているのか。
など。

独特の世界観を持って体の機能的偏りを探すことに注力するわけですが、長い歴史があるだけあって時として侮れない効果を発揮します。
特に疲弊を伴うタイプの機能亢進やストレスに関する独特の解釈が生み出す効果的な養生法などは、現代人の抱えている問題と密接にリンクしていると私はみています。

ただ、細菌やウィルスなどの考えがなかった時代のものですから、感染症に関しては診断、アプローチともに今ひとつであると感じております。
また、自然に解毒あるいは排出さえるタイプの問題には強くても、複雑な化合物が起こす中毒症などには未だ対応できないでいるケースも少なくありません。
当たり前ですが、やはり得手不得手というものがあり、原因と結果が一対一で対応しているようなもの、言い換えると緊急を伴う化学的処理が必要なものなどは標準的な医学に任せるべきでしょう。

もちろん“効く”とされるものには必ず反動、つまり副作用が存在します。
きちんと「証」を勘案して処方されれば最小限あるいは問題にならないのですが、表面に出ている症状だけに対処すべく施されたものは、証と一致していなければそれなりのダメージを残すと予想されます。
実際、咳一つとっても冷えから来るものか、こもった熱が引き起こしているのか。
あるいは経絡が実証なのか虚証なのかによっても処方が違います。
全く逆を施した場合は、治らないどころかひどくなることも十分考えられるわけです。
経験を積んだ人間であればそのあたりは当然のように考慮しますが、慌てて飲んだ漢方薬が逆の効果を出すことのないよう気をつけたいものです。

お読みになった方の中には「これって治良のこと?」と思った方も少なくないかもしれません。
そうです、基本的には考えが通底しています。
と言うか、そういった考えを参考に治良が徐々に形になってきた、と言う方が正確かもしれませんが。

その歴史や実績にはまだ及ばないながらも、日々研究を積み重ねて、いつかは代替医療の一分野として成立させたいなあと言う(少々大きすぎる)希望を持っております。

漢方 3

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