胡椒
胡椒
香辛料というと皆さんは何を思い浮かべますか?
マニアックなことをたくさんご存じの方もいらっしゃるようですが、私などはやはり「胡椒」を一番先に思い浮かべます。
マクロビオティックにおいては香辛料は穀類などよりもはるかに陰性で体を冷やす、としています。
しかしアーユルヴェーダでは体を温めるものとして常用を勧めていることもあります。
これは単に健康観、人体観の違いもありますが、発祥地の気候風土の違いもあると私は考えます。
また、下の国では香辛料の取り扱われ方が日本とは違うため、
マクロビオティックはその基本的な部分を太極思想から取り入れているものの、日本人である桜沢が発展させてきた日本オリジナルといってもよい養生法です。
当然高温多湿で四季のはっきりした日本の風土、あるいは日本人の体質を前提に組み立ててきたものと推測されます。
対してアーユルヴェーダは亜熱帯(だけではありませんが)とも言えるインドを中心に発展してきたといわれています。
ただしこのあたり、私自身が不勉強なのでもしかしたら間違っているかもしれません。
人によりますが、辛いものを食べたときに「発汗」が起きることが多いのはご存じの通りです。
発汗は手のひらと足の裏以外は体温調節のために起きる現象です。
神経支配は交感神経系で、その中枢は視床下部にあります。
この現象が起きる(ことが多い)ということはどのような意味を持つのでしょうか。
辛いものを食べたときの状況にもよりますが、夏場のように暑さで消耗気味の時、交感神経の急激あるいは瞬間的な賦活は、最終的には疲弊状態を招きやすくなります。
すなわち、辛いものを食べすぎると「陰性」に傾き、知らぬ間に体が冷えてゆく可能性があるということになります。
これは骨格筋という大きな運動器の動きを伴わない反応であることも関係しています。
心臓を含めた筋肉に徐々に負荷をかけてゆくことは、そこに付随する代謝を一緒に上げてゆくことになります。
このとき、内分泌系をはじめとしたシステム全体が同じように反応し始めます。
交感神経系も当然亢進し始めますが、それは他のシステムと同調した反応であり、処理しきれないステロイド系ホルモンの後始末に困ることもありません。
このような反応を伴わない香辛料の過剰摂取は、その急激な「興奮反応」に対処しきれない状況を体内に招きやすいと考えるべきです。
また、消化管全体に粘膜のダメージを与えやすく、弱っているときはよくよく考えて食べる必要があります。
それで無くともエアコンの発達によって温度調整に関する反応がスポイルされがちが現代人は、このことをよく踏まえた上で管理を行うべきだと言えます。