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免疫について:番外編3

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免疫について:番外編3

免疫について:番外編3

前稿免疫について:番外編2にある「免疫も学習する」とはどのようなことか。
そんな少々専門的な質問をいただいてしまい焦りましたが、一応知っている範囲でご説明を。

免疫反応が何故こんなに多様な対応が出来るのか、実は結構長い間謎とされてきました。
当たり前ですが「対応セット一揃い」を持って生まれてくるわけではなく、しかしそのメカニズムはちっとも分からなかったのです。

免疫を直接担当する細胞には

・リンパ球(T、B細胞)
・マクロファージ
・好中球
・NK細胞
・樹状細胞

などがあります。

マクロファージは貪食細胞とも呼ばれ、問答無用(言い過ぎかも)の食作用によって異物の処理に当たります。
また抗原提示や炎症性サイトカインの放出もになっています。
最近になってマクロファージ同士が「周囲を見ながら反応している」と言うことが分かったそうです。
免疫細胞の世界もなかなか複雑そうです(笑)

好中球は反応が早く、また大量に存在するため、食作用の主役のひとつでもあります。

NK細胞はNaturalKiller細胞の略で、文字通り容赦ない始末屋です。
パーフォリンと言うストローのようなタンパク質を相手に差し込み、中身を流出させて無力化します。
がん細胞などが増えないように率先してパトロールしています。
この細胞はステロイドホルモンのレセプターを持ち、ストレスがかかり血中ホルモン量が増えるとその機能を下げてしまいます。
笑いが細胞機能を賦活するらしいので、一日一回笑ってみましょう。

T細胞は制御、実働、指令系に別れ、免疫全体において統括的な役割を果たしています。

樹状細胞は抗原提示の主役で、取り込んだ異物に反応するT細胞を活性化します。

さてリンパ球B細胞ですが、これが少々特殊です。
食作用よりも「免疫グロブリン」という、接着能に優れたタンパク質を放出します。
放出される免疫グロブリンはY型の基材部分とふたつの先端部分を持っています。
先端部分が侵入者ごとにジャストフィットするようタンパク質(抗体)の構造を変えて対応するわけです。
なんとこの部位の遺伝情報は可変型で、RNAが必要な情報のみを読み取るという超絶技巧を駆使しています。

これが次々と入り込んでくる異物に柔軟に対応する抗体を作るメカニズムを支えています。
「免疫の学習」という場合多くはこの反応を指しています。
1987年、利根川教授はこの発見によってノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

前稿と重複しますが、これらの適切な反応は基本的にはそのほかのシステムの状況に大きく依存しています。
体温が1度下がるだけで(大ごとですが)タンパク質の合成効率はガクンと下がり、交感神経系がわずかに亢進するだけで白血球分画も変わってきます。
ステロイドホルモン剤は「緊急時は副腎皮質ホルモンによって戦闘状態寄りになるが、同時に体の中を細かく防御している暇がなくなる」という傾向を利用して免疫応答を抑えます(その代わり外傷や痛みに対しては戦闘が続けられるよう対処するようになります)。
怒ったりぐちゃぐちゃ考えすぎたりすると病気になりやすいというのは、こういう側面からみると正しいと言えます。

繰り返しますが、「適切な免疫反応」を維持するための魔法の方法も絶対的な要件も今のところ見つかっていません。
あくまで「人というシステム」を滞りなく機能させることが必要条件になります。
そしてそのためには睡眠、食事、ストレス処理、運動、その他自分に必要な管理方法を地道に、そして正しく行うこと。
今のところこれにつきます。

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