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免疫について:番外編2

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免疫について:番外編2

昨今のウィルス騒ぎで「免疫」という言葉を聞かない日はなくなりました。
曰く「免疫が強ければ感染しない」とか「免疫力アップにこれが良い」などなど。

免疫について:番外編にも書きましたが「強ければ良いってもんでもない」のが免疫というシステムです。

まず今回の新型ウィルスは“新型”なので初遭遇の時点ではだーれもこれを迎撃する能力を持っていません。
現状の防衛力がどうあれ、誰も即座に反応できないのです。

異物(今回はウィルス)が入ってくると、既知のものならすぐに応答が始まります。
しかし新型でそのタイプが分からなければ「まずこれはどんなやつなんだ?」というところから始まります。
白血球によって抗原提示がなされ、コントロールシステムが「ではこんな装備で出動しなさい」という命令を下します。
免疫システムも学習するというわけです。

ウィルスは遺伝情報(DNAやRNA)にタンパク質の服を着ただけの「生き物なのか物質なのかよくわからない存在」で、免疫システムはこのタンパク質の服に合わせた攻撃方法を駆使して排除を行います。
しかし敵も然る者。
ウィルスはこのタンパク質の服をちょくちょく、そしてほんの少しだけ変えてきます。
全く効果がないわけではないのですが、既存の装備や方法の防衛力が減じられ、その都度微修正を行いながら対応しようとします。

今回は免疫システムにとっても全くの未知との遭遇で、もたもたしているうちにあちこちで増え、対応準備が調うと一斉に反応(炎症を先駆けとする局地戦)が始まります。
この時上気道などですむ場合と、肺の奥深くで戦いが始まる場合では色々状況が変わってきます。
前者だと軽い風邪ですむようですが、後者だとステロイド吸入などを使う方法が試されているようです(おそらく制圧は可能だろうと考えますが)。

さてこんな風に最前線で戦う白血球達(リンパ球や好中球など)ばかりに目がいきがちですが、実はこの戦いは「全体のコンディション」が大きく影響しています。
端的に言えば「体の調子が悪けりゃ兵隊(白血球)だってうまく働けない」と言うことになります。
一例を挙げれば白血球もエネルギーを消費することには変わりありませんし、これを支える代謝が健全であれば効率よく、つまり損耗を最小限に抑えつつ復元できることになります。
反対にコンディションガタガタの時に外敵の侵入を許せば、混乱した命令系統が下す適切ではない命令を、相互連携がとりづらい環境の中で白血球は実行しようとします。
ダメージありありの血管は必要以上に損傷され、立ち入り禁止区域(例:脳脊髄区画)などに入り込まれてしまうかも知れません。
寝不足で自律神経反射が不安定なら、もっとも安定した体温コントロールなどは望むことが難しくなるでしょう。
発熱は防御反応のひとつですが、リスクゼロではありませんから緻密な制御が望ましいのです。

こうした無数の、そして全身のシステムが「外敵による内部の混乱を可能な限り早く復元する」という方を向いて、初めて兵隊である白血球が「今ある環境をできるだけ壊さず、生存に有利な状況を維持するため」に働けるのです。

なので魔法の方法も、「絶対免疫アップできる食べ物」なんてものも存在しません。
そんなものがある、なんて話を聞いたら走って逃げ出すべきです(笑)

何だかよくわからないウィルスが感染経路もはっきりしない状況で拡がれば、不安になるなという方が無理です。
しかしながら焦れば焦るほど体内のシステムは効率を落とし、結果として色々不利になることは明白です。

今耳をかたむけるべきは「免疫力アップ」などと言う戯れ言ではなく、あなたというシステムが一番スムースに機能するように

・十分な睡眠
・安定した食生活
ストレスを素早く処理できる環境

などを可能にする「自分の中にある好ましい情報」です。

ここのところは決して間違えないようにお願い致します。

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