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免疫について:番外編

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免疫について:番外編

常に高くしておく必要があり、落ちると大変なことになる。
株価と免疫力はどうやらそう思われているふしがあります。
株価の方は(縁がないのも相まって)「そうなの?」としか答えられませんが、免疫力に関してはもしかしたら・・・・と思うところを書いてみます。

そもそも免疫とはどのように定義すべきものなのか。
字面をみてみると「疫を免れる」と書いてありますので、「伝染性の病気(をはじめとするやっかいごと)を回避する力」が免疫というものを評価する基準となるようです。
生体においてやっかいごとはたくさんありますが、古来私たちにとってもっともクリティカルな問題は「外傷」と「病気」というものでした。
けがや感染症
医学も薬も不十分だった昔においては、食事睡眠の確保の次に来る心配事だったと言ってよいでしょう。
組織の修復や感染による問題排除を可能な限り素早く行い、システムの恒常性を維持する。
人体における免疫とはそのように定義できるようです。
また別の言い方をすると「自分とそれ以外を見分けシステムを安定させる力」となり、(たとえ自己であっても)非自己と見なしたものを問答無用で攻撃排除するシステムと言うことも出来るでしょう。

ただし実働部隊は所謂白血球の仲間たちですが、それを制御するリンパ球(これも白血球の一種)や免疫反応を賦活するシステム、あるいは神経系を通して行われる反応を含め、様々な系が協調し合いながら私たちの内部環境を安定させようとしています。

さてこれらの「生存を不利にする要因の排除」システムは、実は“ちょうどよい塩梅”というのがあります。
例えばですが、細菌が一つ(と言うことは実際にはありませんが)侵入してきたときに、軍隊レベルで白血球が出動したとしましょう。
当然免疫細胞の圧勝が予想されますが、この時起きる反応は使用される活性酸素などの量だけをみても、尋常では無いというか現状に対して不釣り合いなものとなるでしょう。
当然これを後始末するエネルギーもたった一つの細菌を排除するにしては甚大なものとなり、とてもコストパフォーマンスがよい、つまり効率的とは言えないと考えるべきです。
一回ならばまあ問題はないでしょうが、これが毎回「ばかげたリアクション」を後始末させられるようになると、戦闘のあった場所(組織や器官)は荒廃し、その結果生じる遺伝子レベルの損傷は別の問題や疾患を引き起こすリスクを抱えることとなります。

もうひとつ「強すぎてもどうかなあ」と言えることがあります。
これもたとえですが、私たちの体には無数のバクテリアが住み着いています。
大抵は共存、つまり互いに相手のためになるような利益を差し出しつつ生存しているわけです。
当然この中にはあまり好ましくないものが好ましくないところにあるケースもありますが、見て見ぬふりというかあまり大事にせずに許容していることも少なくありません。
言ってみれば放って置けばなにもしない「よそ者」って結構いたりするわけです。

ところが免疫という網のその目がきわめて小さい、つまり外的に対して敏感に反応してしまう傾向がある個体においては、適度な見て見ぬふり反応が出来ず何でもかんでもけんかしてやっつけようとする傾向が見られます。
この結果は短期的に見れば炎症反応やその後に生じる損傷、反応エラーを増加させ、全体としてみると紛争の絶えない領域をあちこちに抱えた状態になってゆきます。
ただし長期的にそれがどのような影響をもたらすのかは定かではありませんが。

時々「実はなかなか治らない感染症を抱えています」と、治良途中から打ち明ける方がおられます。
様々な病院や薬を試してみるものの、いっこうに回復の兆しがなく、しかし悪くなりきるわけでもなく、時々ひどい目に遭ってはしばらくすると落ち着くといったパターンを繰り返す人が意外と多いことに驚きます。
基本的に体力も十分で、詳しい検査をしてみても特に問題があるようには思えない結果で、白血球分画などの生化学的な検査ももちろんクリアします。
そういった方をよくみてみると、特定の反応が突出していて、過敏過剰な反応を抱えてバランスを崩しやすくなっているケースが少なくないことに気がつきます。
ひらたく言うと「いつも体の中でけんかが発生している」感じで、局所的な炎症制御を含め、なんだかいつも忙しくてエネルギーもそちらに多く割かれているような印象がつきまといます。

さてでは私はどのようにこれに相対すべきなのか。
もちろん感染症の原因になっている病原体(細菌やウィルス)を駆逐するなんて芸当は出来ません。
少なくともそれを達成できるようなイメージがどうしても湧いてきません。
ただ上記のようなクライアントにたいして私の手は「反応を均す」方向へ誘導したがります。
突出した反応、例えば過剰な白血球の出動や活動のエネルギーを他のところに振り分ける。
あるいはただただ突撃してゆく兵隊(白血球)をより細かく対応できるよう落ち着かせる。
内部イメージとしてはそんな感じで、後は無意識領域が行いたがることを邪魔しないようにする。
いろいろ試してみましたが、現在はこういった方向性で対応しています。

これを「免疫の強弱」という観点から見てみれば、決して強くしているわけではないことがおわかりかと思います。
緊急時以外、攻撃一辺倒では私たちの体は持たないことは明白です。
必要なときに必要なだけで張ってすぐに収束するような方向へ。
治良が目指す方向はきっとそちらなのだろうと再認識しました。

参考:免疫について

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