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炎症2

炎症2

無いととても困る。
日常で会う「痛み」に関係することは意外なほど少なく、しかし常にそれは体中で起きている。

ただし適切に制御されないと病変のきっかけとなり得るもの。
炎症とはそのようなものであると考えます。

治良はどちらかというと炎症が起きている状態には弱い。
以前はそう考えていたのですが、近頃はそれなりに“効いているな”と実感することも多くなりました。

もちろん医師の指示の元投薬を行った方がよい場合も少なくないのですが、微妙かつ慢性的な問題に関しては何となく糸口が見えてきたなと感じます。

(毎度で恐縮ですが)日経サイエンス2015年10月号に「炎症反応の指揮者 インフラマソーム」という記事が出ていました。

要約ここから。

通常免疫応答の初期に起きる炎症は、外来シグナルおよび危険シグナルにより引き起こされる。
外来シグナルとは細菌やウィルスなどの微生物が主であり、危険シグナルとは「本来そこにあるはずの無い物質全般」である。
それにはアミロイドβや損傷によって細胞質に放出されたDNAやRNA、アデノシン、コレステロールや尿酸といった生合成された代謝物質や、飽和脂肪酸などまでが含まれる。

炎症反応というのは意外にも「どれも同じ経路によって生じる」ものであり、その発端は数種類のインフラマソームという分子複合体である。
これがサイトカインを放出し、これが反応のはじめを形成する。
初期反応に引き寄せられ遊走してきた白血球により本格的な炎症が開始され、治癒/復元へ向けたメカニズムが発動する。
しかしサイトカインの放出量や各組織における応答パターンによって、炎症に対するリアクションが異なり、時として様々な疾患が生じる原因となり得る。

要約ここまで。

門外漢の私ですが、大変興味深い記事であると思います。
とりわけ80pにある「過食がもたらす炎症」という部分はなるほどと思わせるもので、ここをもう少し詳しく抜粋してみます。

抜粋ここから

しかし、インフラマソームに関して私が本当に驚いた発見は、食事で炎症反応が起こることだ。より厳密に言えば、一度に食べ過ぎた場合は、急性の炎症が生じてそのうち自然におさまり、慢性的にカロリー過多な食事をした場合は、必然的に体にたまった脂肪が慢性炎症を引き起こす。
このようなつながりは研究者も予想していなかった。

中略

しかしここ数年で行われたいくつかの動物実験で、飽和脂肪酸などの特定に栄養素が、高濃度は危険シグナルとして作用し、マクロファージなどの細胞のインフラソームを直接活性化することが示された。この発見から、特定の代謝産物がインフラソームの活性に及ぼす影響を調べるという全く新しい研究領域が誕生した。
たとえば炭水化物などの栄養素の取り過ぎが間接的に炎症反応を引き起こすコトが明らかにされている。体が過剰な栄養素をまず脂肪酸に変換してしまうからだ。

過食に関連した炎症で冒される臓器はいろいろあるが、その中で最も強く症状が現れるのは肝臓だ。これは肝臓が大量の脂肪酸をとりこむことも関係しているだろう。
さらに、健康な肝臓には刺激を受けると活性化する免疫細胞が数多く含まれており、わずかな刺激に対しても反応して肝臓を傷つけることがある。
これらか組み合わさると、肝臓が腫れて炎症が起こり、脂肪肝と呼ばれる状態になることがある。脂肪肝は治るものであるが、大酒飲みに多い肝臓の状態と大概区別がつかない。

以下略、抜粋ここまで。

なんとも耳(目?)の痛い記事ですが、メタボリックシンドロームという概念で提唱されているように、内臓脂肪と呼ばれる、比較的エネルギーに変換しやすい脂肪が腸や肝臓にダメージを与えうるという話の強い後ろ盾となる研究であり、臨床的にも説得力があると感じています。

これを(勝手に)敷衍して考えるに、炎症というのは「そこにあってほしくない分子を引っ捕らえるために起こすのろし」みたいなものであるようです。
代謝という生化学的な特性を踏まえてさらに思うのは「いつでもどこでも起きていて、結構制御不能に陥りがちなものであり、現代の食生活ではさらにそれが助長されやすい」ということでしょうか。

記事中にある「飽和脂肪酸」ですが、炭素の二重結合(分子構造を柔軟にする)をもたない安定的な脂肪酸を指し、一般的には常温において流動性が少ないものとされています。
ひらたく言うと「牛や豚の脂身みたいなぶれづらい硬い脂肪」であり、逆に魚などの脂肪酸は水中という低い環境温下でも流動性が保てるよう炭素の二重結合をいくつか持つものが多く占めるようになっています。
リスクとしては炭素二重結合数と酸化度合いは多くの場合比例関係にあり、柔らかい油ほど持ちが悪いと言うことでしょうか。
ちなみに酸化脂質はこれまたやっかいで、食べ過ぎると面倒な疾患の原因となる可能性をもっていますのでご注意を。

さて治良がこれにどのように関わっているのか。
当たり前ですが、多くの場合私の治良は即効性のある消炎効果をのぞめません。
逆に一時的にその炎症の状況を強調することになるケースが多いと言えます。

文中のインフラマソームは、炎症の初期反応を起こすとすぐに分解されてしまうらしいのですが、

・インフラマソームがいつまでも作り続けられる
・インフラマソームがおびき寄せた炎症物質がいつまでもある

などして、不要な炎症反応が続くと問題が大きくなってしまう、と(雑ですが)考えることが出来そうです。
最もインフラマソーム生成のメカニズムは完全には解明されていないので、あくまでも知ろうとの推理でしかありませんが。

話を戻します。

どうしようも無くひどい炎症などは別として、徒手矯正によって楽になる炎症問題などを観察してみると

・ひどくもならないが治りきらない

と言うパターンが一番多いように感じます。
発熱で言えば「いつまでもだらだら微熱が続く」といったところでしょうか。

これまたいい加減に聞こえるかも知れない推論ですが「もうちょっとひどくなれば体もそれなりに対応しそうな状態」であるのに、体力が無いのかはたまた免疫システムが不安定なために対応が出来ず、いつまでも中途半端な状態を続けてしまっているように見える。
どうやら治良はそういった状態に対して「ほれ、しっかりしろ」と気合いを入れている(?)ように思えます。

最近アレルギー性ではない皮膚炎を抱えて来院される方が増えて、明らかな炎症状態からの回復の経過を見るに、そのように実感しています。

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