ナッシュ
ナッシュ
Non-alcoholic steatohepatitis。
この頭文字を取手NASH(ナッシュ)といいます。
非アルコール性脂肪性肝炎を指します。
脂肪肝というのは脂質代謝問題が起きて、中性脂肪を始めとして余計な脂肪が肝臓にたまる現象で、軽度であればそれほど大きな問題にされることはありませんでした。
しかし30年前くらいからアメリカで問題になり始め、それが重大な疾患(慢性肝炎や肝硬変)に移行しうると判って来ました。
詳しいメカニズムはまだはっきりしていないようですが、統計的には肥満と密接に関係していることも判明しています。
また非アルコール性というだけあって、一日のアルコール摂取量が20mg以下で発症するケースが殆んどで、しかし肝臓の代謝能力を損なうほどの脂質が蓄積する原因というものについて調査が進んでいます。
何がきっかけで発症するのか確定されていませんが、生化学的なストレスが関係している考えられています。
肥満には内臓脂肪が放出するインスリン抵抗性物質による反応が絶えず起こっていると考えられ、インスリンの肝臓内での機能(糖新生の抑制など)を考慮すると、肥満によるリスクは無視できないファクターであると言えそうです。
手技療法家の立場から見るとき、肝機能の制御不全は必ずといっていいほど中部頚椎の可動制限とセットになっています。
勿論頚椎のアジャストメントあるいは可動制限の解除をもって「治癒した」と言えるほど単純ではありませんが、治良を行うにあたりこの制限がひとつの指標となるのは確かです。
また体全体を眺めた時、肝臓周辺よりも血管系を束ねる循環器系の反応に目がいきます。
これらの関係を医学的に記述するのは私には無理ですが、更に詳細に観察するにどちらもある種の「恐怖」がその背景に存在するケースが少なくないことにも気が付きます。
恐怖は呼吸を伴わない興奮ということが言えますが、これが「抑えこまれているとき」は、その衝動だけが独り歩きし、これを抑えるために過食に走るケースが増えて来ています。
一時的にこれをごまかしても恐怖そのものが生理的に処理可能なレベルになっているかどうかはわかりません。
そのため、さらなる食事量の増加が際限なく繰り返されることがあります。
上記は私の治良経験から来る見解に過ぎませんが、経過を観察するに全くのデタラメというわけでもないように感じています。
日常の対処(これはくわしく検査することを拒んでいる人の、周囲の人に話していることですが)としては、まず深呼吸をさせること。
可能であれば軽度の運動を継続させたいところですが、大抵のクライアントはこれを拒む傾向があるので無理強いは逆効果と考えるべきでしょう。
深呼吸を繰り返していると、実際の生化学的な変化以上に、「自分の体に気を使っている」というクライアント自身の期待感を誘導することが(全例ではないにしろ)可能になります。
これを緒に体調の変化が起きるとその先はより良い方向へ、が期待できます。
私もモロに(いわゆる)メタボ体型なため、運動の継続とストレスの可能な限りの処理、食事を含めた管理工夫を行なっています。
一つしかない体ですから、(特に中年以降は)できるだけ丁寧に接していくことが肝要です。