セロトニン2
セロトニン2
言わずと知れた線維筋痛症発症のメインメカニズムに深く関わると目されている物質です。
セロトニンの項で「幸福感を感じさせる物質」とかきましたが、勉強が進むにつれ少し補足が必要だということに気がつきました。
まず脳内における神経伝達物質と呼ばれる物質をご紹介します。
これらはアミノ基と呼ばれる窒素-炭素化合物を一つ(モノ)だけ持つ構造をとっており、代表的なところではドーパミン、ノルアドレナリン、アセチルコリンなどがあります。
このうち、ドーパミンとノルアドレナリン、そしてセロトニンは深い相互関係をもっていていると考えられており、脳内の神経伝達物質として主要な物質となっています。
まずドーパミン。
中脳から前頭葉まで広くその作動神経を持ち、高揚感や多幸感を作り出すといわれています。
覚醒剤はこのドーパミンと非常によく似た化学構造を持っており、大量の作動神経を一斉に興奮させるため、きわめて強い作用を現します。
これはドーパミンの過剰症によく似た症状で、あまりに強い快楽のために思考をきちんとまとめることができずに、思考の散逸あるいは強い妄想にとらわれやすくなるといわれています。
多幸感を作り出すだけあり、適切な分泌量が確保できていないと、鬱あるいは意志の決定力低下などの症状がみられることがあります。
また錐体外路系神経に影響を与え、運動の適度な抑制を担うともいわれています。
これが不足してくる代表的な疾患にパーキンソン病があります。
小歩症、仮面様顔貌、運動変換不全などがみられます。
ドーパミンが作用する神経系をA-10神経系といい、どこぞのアニメーションできいた方もあるかと思います。
ノルアドレナリン
「ノル」とは正しい化合物、というような意味合いで、アドレナリンはノルアドレナリンの代謝物ということ(らしい)です。
これは神経系全般に「闘争か逃走(Fight or Flight)」をせまるもので、血圧や血糖上昇を含む緊急状態を喚起させる物質です。
主にそのスイッチは「恐怖」であることが多いのですが、最近であればアイデンティティを脅かすようなモノまでが「生存を危うくする」ということがわかっているので、そのようなときにも分泌される物質です。
また副腎から放出されるホルモンとしても有名で、いずれにしても緊急時に緊張を強いて生命を確保する助けをしてくれる物質です。
ドーパミンとノルアドレナリンの作動神経系は相互作用を持っていて、片方の影響が片方の興奮を誘導します。
つまり多幸感と興奮はセットになりやすいというのが生化学的な見解ということになります。
対してセロトニンはこれらの興奮反応に対してブレーキのような働きを持つと考えられています。
以下はつたないしかし割と蓋然性のある推測かなと考えています。
神経細胞がシナプスで伝達物質を受け取り興奮するということは、一面としては興奮作用によって(機能的にも構造的にも)微小ながらも疲労、疲弊するということでもあります。
ドーパミンやアドレナリンといった物質は、興奮作用つまり生き物としてアクティブに過ごすことができるよう、言い換えると捕食をはじめとした生物としての本質を全うできるようにする効能もあります。
これらの効能が疲労疲弊によって必要以上に消耗しないようにするために、セロトニンという物質があるのかな、と考えるわけです。
また女性の産生量が男性のそれに比べると半分あまりしかないのは、基本的に「Fight or Flight」状態に対して誰かにカバーしてもらうようにできているからではないかと推測します。
近年はそんなこともいっていられない状況ができつつありますが、あまりにセロトニンどばどばで「私は誰の挑戦でも受けて立つ!@アントニオ猪木」的な生理だと、きわめて繊細で多岐にわたる生活を強いられるような働きが難しいのではないか。
言い換えるなら女性はセロトニンが男性ほど必要のない状態を作らざるを得ないようにできている。
解釈の一つとしては成立しうると私は考えます。
しかし現在は最低限の必要量さえも確保できずに苦しんでおられる方が、驚くほどたくさんおられるようです。
これについては手技療法の立場から可能な限りアプローチできるよう、現在鋭意研究中です。
是非情報をお寄せください。