Case-5
Case-5
乳幼児の夜泣き、奇声に対する遠隔治良の効果について
2010年受診。
出産後、早い時期に受診を開始していました。
やや“気むずかしい”印象の子供ではありましたが、特に大きな問題があるようにも見えず、お母さんの里帰りごとにチェックをしていました。
そうこうしているうちに1歳を過ぎ、ある日電話をいただきました。
「夜泣きがひどく、日中もすごい奇声をあげる。」とのこと。
当院とは距離的にかなり離れており、連続した直接治良が難しいため遠隔治良を開始。
まず夜泣きの子に多いパターンとして、肝機能の不安定さがあります。
厳密に数値に問題が出る、というよりは、私の感覚として代謝系に問題を抱えているケースが多い、という意味ですが。
このケースでも脂質代謝、特に胆嚢の働きと、小腸における脂質吸収の際にでてくると思われる反応がもう一つしっくりこない感じでした。
またとてもかわいい顔をした子でしたが、なぜかいつも眉間にしわを寄せておりました。
痛みを訴えるわけでもなく、しかしいつも眉間にしわを寄せている場合、たいてい(経絡からみた)エネルギーを十分循環させられずにいて、心理面でも訳もなくいらいらするような場合があります。
この子の場合もそのパターンだったのでしょう。
連続6日間の治良でひとまず経過観察をすることになりました。
その約一ヶ月後、また連絡がありました。
以前ほどひどくないが、また同じような症状を訴えている、と。
再チェックをしてみたところ、ちょっと表現しづらい反応がありました。
一言で言うと「この子、すごく敏感だな」という感じです。
自分や自分以外の記憶や思考が時として生きている人間に影響を与えうる、というのは以前書きました。
表現として正確ではないかもしれませんが、そう考えるしかないような事例も数多くあるのです。
そしてこの症例ではその背景のほとんどがこの問題で占められていました。
誰かがこの子に向けて何かを発している、というわけではありません。
記憶や思考はその辺を漂っている電波みたいなもので、アンテナさえ立てなければどうということはないものなのですが、いったんアンテナが立ってしまうと自分の中に流れ込むことを止めるのが難しくなります。
これは単に「違和感がある」から「頭の中で声がする」までいろいろな段階、パターンがありますが、生理状態や心理状態において少なからず影響があることはほぼ間違いありません。
逆に生理状態が不安定な結果、必要以上に敏感になってしまい、結果として余計な情報を拾うということもあります。
こういったケースは「遠隔治良」によく反応します。
治良はもともと生理状態を制御している“何か”に影響を与えやすいらしいのですが、遠隔治良の場合はその特性が極端にでるのでしょう。
構造的な問題などを直接調整することができないため、どうしてもその制御システムを意識せざるを得ないから、というのがその理由ではないかと推測します。
いずれにしてもよく正体のわからないものを、これまた作用機序不明なやり方で修正をするわけですが、これらは私の経験上大変相性がよいといえます。
また乳幼児や未就学の子供の場合、往々にしてこのような原因で生理状態を圧迫していることがあります。
同時に非常に反応の早いケースも珍しくなく、子供の持つ、というかどんな問題も素早く回復させる若さというのはすばらしいものだなと改めて実感しました。
合計五日間。
それでその子の持つ不安定な制御システムの反応は解消されました。
その後数ヶ月たちますが、現在非常に安定しているとの連絡をもらいました。
今回は生理的な背景と、それ以外の背景の二本立てでしたが、どちらもきわめてよく反応してくれました。
また、その子の家族全員、そして祖父母に至るまで反応がリンクしていたのですが、それも同時に安定しました。
考察
本ケースにおいては説明しづらい複雑なプロセスもありましたが、治良師としてするべきことをした、というところがポイントではないかと考えています。
症状に惑わされすぎないのはもちろん、状態の変化をできるだけ冷静に追いかけることができたのが早めの改善につながったものと分析します。
また、触診が不可能であるため、状況判断を自らの感覚だけに頼るわけですが、それまでよりも一段深いレベルで反応を感じることができるようになったことも素早い変化をもたらす要因であったと思っています。
この経験を境に遠隔治良と検査の精度がひとつ上がったように感じます。
治良をさせてもらった子供さんとお母さん、ご家族の方たちに感謝いたします。