越田治良院へようこそ あなたのココロとカラダをリセット

自然は人間に優しいのか

FrontPage

戻る

自然は人間に優しいのか

これから書くのはわずかな事例をことさら拡大解釈したもの、かもしれません。
ただこういうことも(うちの治良室では)わりとよく見かけるのです。

アレルギー問題を語るとき、食べ物や化粧品といった直接接触するものを避けて通るわけにはいきません。
目に見えないものの影響を認めつつも、直接触れるものの影響は、もし関係があるとするとその比ではありません。

これらの問題でよく言われることに「できるだけ自然のものを使う」という指針があります。
人工的に合成、あるいは加工されたものは私たちの消化代謝、あるいは免疫システムが十分に対応しきれない、と言う考えから来る主張のようです。
また一方には生物を動かしている、定量不可な根源的な何かを備えていない「非自然」な物体は、私たちを消耗させるだけであるという主張もあるようです。

前者に関しては複雑な化合物、あるいは致命的かつ排泄困難な毒性を備えている一部の物質はその通りだと私も思います。
広義のドラッグに該当する(と思われる)これらは、そこら辺に落ちているいわゆる自然なものよりも危険であると考えられることが多いようです。
自然に起きる反応をごまかしたりブロックしたりするのが「薬」と呼ばれるものの働きですが、人工化合物はこれらの反応をあまりに素早く、そしてピンポイントに起こさせるため、体の対応が十分ではないうちに効いてしまうことも事実です。

またその代謝経路においても不明な点があるものもあり、それらを解明しないうちに使うが故にリスクも存在します。
ただ私達の体というシステムは、考えられているよりも柔軟性を備えている面もあり、未対応の物質に対しても素早く対応体制を整えることもやってのけます。
そうでなくては私たちは化合物だらけの現代において生存してゆくことはできません。

同時に自然にあるものの中にもなかなか強烈な作用を示すものも数え切れないほどあります。
ふぐ毒やトリカブトの毒などはその典型ですが、そこまでいかなくとも体の状態によっては問題を生じさせるものも少なくありません。

一つ例を挙げてみます。
以前皮膚炎を繰り返す人がおられました。
治良するとそれなりに落ち着くのですが、またしばらくすると来院しなければならなくなる、を繰り返す人でした。
元々の体質もあるので多少皮膚が荒れやすい、というのはわかります。
が、どうにも腑に落ちなくて化粧品に何を使っているのか聞いてみました。
ほとんど天然素材のものばかりでした。
その中である野菜から摂った成分をメインにした化粧品がありました。
もちろんその野菜は無農薬で、かつ水なども良いものを使っており、値段も少量生産のせいか結構なものでした。
で、筋力検査をしてみるととんでもない結果が出ました。
他のものは問題ないのですが、それだけが全ての反応を「邪魔」しているかのような結果でした。
もちろん筋力検査は万能ではないのですが、あまりにえげつない手応えでしたので「試しにこれをしばらく使わないようにしてみて」とお願いしました。

みるみるうちに皮膚の状態は良くなり、それ以外の化粧品はもちろん、今まで使えなかった普通の化粧品もOKになりました。

極端なアレルギーとも言えますが、その自然素材は決してその人に優しいものではなかった、と言うことになります。
むしろその後の経緯を考えると、その人の弱さを増幅しているというか、どんどん体をむしばんでいたわけです。

おもしろいのは同じ野菜でも普通に売っている(たぶん農薬のかかっている)ものを絞って使ってみても何ともないのです。
しかし有機栽培、あるいは低農薬をうたっている同じ種類の野菜はアウト。

こうなると単なるアレルギーというよりも何か別の問題と考えるべきです。
そこで上記の「また一方には生物を動かしている、定量不可な根源的な何かを備えていない「非自然」な物体は、私たちを消耗させるだけであるという主張もあるようです」という一文を考えて見ます。

私達の体を東洋医学的に眺めるとき、その作動原理を司るものの一つと思われるものに、これら「定量不可な根源的な何か」といわれるもの抜きに説明できない事例が出てきます。
それを気というのかどうかはよくわかりませんが、目に見えず手に触れない、まるで中世まで正体がわからなかった電気のような存在に行き着きます。

自然のものはこれらが強く、人工のものは少ないかあるいは私達の体にそぐわないものが多い、と言われています。
だから自然のものを取り入れるべしという論理がある種の主張を支えるバックボーンになっています。

確かに経験的ですがそれらの主張は有用性があると私も思います。
問題を抱えてうちに来られる方達のほとんどは、人工的なものに激しく反応する傾向が強く、自然素材のものだとそれほどでもないのです。

しかし、同時に私達の体には容量というものがあり、あるカテゴリーにおいてその容量がいっぱいであると、いくら自然のものでも強く反発してしまいます。
そしてそうなってしまうといわゆる「自然のエネルギーが高い」などと称しているものの方が、よりきつい症状を呈することが珍しくありません。

先の野菜成分に反応してしまう人などはその最たるケースと言えます。

このように人体に対して自然は親和性が高い、と言うのはある意味本当ですが、絶対でもなければどのようなケースにおいても当てはまるというものでもありません。
また親和性が高いから体に良いあるいは現時点で必要であるのか、という問題もあり、安易に自然素材全てをありがたがるべきでもありません。

このあたりはまず頭で判断し、そして体に聞いてみるというプロセスが必要で、これだけ人体における状況が複雑化している現代では慎重な対応が求められます。

powered by Quick Homepage Maker 5.3
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL.

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional