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自己肯定感2

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自己肯定感2

これを高めろ!
もはや最近の流行語(はいいすぎかもですが)みたいになっている感もあります。

多くの方々が体験実感していることだと思いますが、実は肯定よりも否定のほうが簡単です(特に自己認識においては)。
正確には「肯定ってとっても難しい」となります。

肯定は「ある考えが自分の中で矛盾なくおさまって初めて発生するもの」です。
しかしほとんどの人の大抵のケースにおいて「ある考え」は、常に反証或いは検証が自動的になされ、否定的な要素の完全排除はかなりまれなことです。
或いは瞬間的には肯定感が生まれても、すぐに否定的なイメージが浮かんが出来てしまいます。
特に自分を観察するとき、これを経験したことのない人を探す方が難しいと言ってよいでしょう。

この理由を考えてみましょう。

その1:多くの場合は肯定と否定をセットにしないとイメージとして固定できないから。

例えばですが、美味しいものを食べてこれが好きという感覚を持ち続ける場合、その反対である「不味い」を知っていないとどのくらい美味しいのかを自分の中でイメージすることが難しくなります。。
「そうじゃないもの」と対比しないと今感じたことがどの階層で、自分にとってどのような意味を持つのかを明確に記憶しづらいのです。
これは

a,死から遠ざかるためにどのくらい寄与するのかを明確にしたい
b,言語化するため

というふたつの理由が背景にあり、重要な情報を際立たせ、今後に生かすためにも対比可能な情報をセットにしてイメージを作ろうとします。
AI研究においては機械が情報の優先度をつけられない問題を「フレーム問題」といいますが、私たちの「死にたくない」という衝動が「なににフォーカスするか」を決めています。
機械には「死にたくない」がないため優先順位をつける必要がない、といった方が正しいかも知れません。

その2:元々警報系が優位だから
警報系というのはわたしの勝手な命名ですが、ようは危険を察知し意識させるための脳内サーキットのことで、応答に必要ないくつかのモジュールが特定されています。
私たち生き物の大原則は

「自分だけが大事」
「死から遠ざかいたい」

です。
身もふたもありませんが、生物はそのように設えられていて、この基本的な衝動が生じさせる「欲求」によって突き動かされた結果、「生き延びる」という選択をするのです。
そのため危険を知らせるこれらのシステムは基本常に起動状態ですが、十分に健全な生理状態であればこれらを抑制するシステムも機能します。
このシステムのスイッチは意志の力でOFFにするのは難しく、いつ何時でも不安や恐怖を喚起できるように準備しています。

脳はとても高度な処理をになう立場上、できるだけ面倒なことを避けようとする傾向があります(どこかの国の官僚みたいですねww)。
そして内部に安全に扱える、言い換えるなら今の自分の考えと矛盾のない情報だけを取り入れようとします。

これらの基本性質は

・処理に手間のかかる、都合の悪い情報はカットする
・都合の良い情報だけで脳内世界というイメージを構築する

という方向性をもたらします。

私たちの頭の中は「自分にとっての当たり前」で埋め尽くされているといった方がよいかも知れません。
この当たり前を揺さぶる情報(それが真であっても偽であっても)は自動的にはじくようになっています。

しかしその場の状況の変化はもとより、体調、気分、その他内外要因によって簡単にこの「当たり前」は揺さぶられ、時として入れ替わりもします。

この前提に立って考えるに、自分という「当たり前のことが詰め込まれている、そして全容がはっきりつかめない、揺れまくりのあやふやな枠」を常に肯定するってそもそも本当に可能なの?という疑問が湧いてきます。
心が疲れているときならすんなり飲み込めた主張も、少し元気になってみたら「???なんでそんな話を信じた???」となることはごく普通にあります。

わたしも「自己肯定感が高い」こと自体は素晴らしいと思います。
ただしこれをいきなり「高める」のは「本当に出来るの?」と思いますし、ちょっとリスキーだとも思うのです。

・実感を伴わないフレーズは違和感を生じさせ時によっては重荷になる
・脳は常に否定的な傾向を持つ

このふたつの原則に反している「否定的なわたしから肯定的なわたしへの変身!」のようにみえるからです。

「今の状況は危険ではない」と実感できたことがない人に「こう考えれば自分を好きになれますよ」といった見たところでなかなか腑に落ちないだろうと、自己否定がデフォルトのわたしなんかは思ってしまいます。
また否定を行うサーキットのスイッチオフはそう簡単なことではなく、十分な準備や訓練なしにいきなり実行しようとすれば多くのケースでしっぺ返しを食らいます。

そこでわたしは

自己肯定感を高める前に、自己否定をしている自分を眺めてみる

を提案します。

この「自分を眺める」というのは意外なほどに色々役立つ方法で、混乱しているときも疲弊しているときでさえ実行可能なアプローチです。

自分を受け入れるではありません。
自分を許すでもありません。
違う自分になる!なんてウマい(そして危険な)話でももちろんありません。

この先にあるのは「今何故否定しているのかを、そして最終的には自分という枠組みを知り理解する」です。

中年の80%は失敗で出来ている。
「俺はまだ本気出していないだけ」に出てくる名言ですが、これが腑に落ちたわたしに怖いものはありません(嘘(笑)

無理に自己肯定する前に、自己否定している自分を人ごとのように観察する。

わたしのおすすめです。

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