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糖質制限

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糖質制限

遺伝的に糖代謝に不安がある私は、現時点では比較的安定した検査結果が出ていますが、それでも油断ができるようなことではないと感じております。

まあ究極的には「食べない」というのが一番みたいですが(笑)、そんなこともできるはずがなく日々びびったり「大丈夫」と言い聞かせたりしながら過ごしております。

そんな私の目に良く飛び込んでくるのがこの「糖質制限」というメソッドです。

ひらたくいうと「カロリー制限ではなく、炭水化物を含む容易に糖に変換される食べ物を制限し、血糖値の上昇を適正にコントロールし、高血糖によって生じる様々なリスクを回避する」というものらしいです。

糖に限りませんが、食べたものは消化(分解)吸収され、肝臓でいったん組み替えられて(代謝)、その上で利用できる形になって体中に運ばれます。
最終的には排泄、あるいはエネルギーになり人体というシステムを維持するためのサイクルを形成します。

血糖値の急激な上昇にはいくつかのリスクが生じます。

まずインシュリンの急増による問題。
インシュリンというのは膵臓のランゲルハンス島のβ細胞というところから分泌されるホルモンですが、血糖値を下げるのはほとんどこのホルモンに頼っている状態で、いつも激しい血糖上昇があると、これを制御するために膵臓も大忙しとなります。
どうやら遺伝的な要素もあるようですが、このような休む間もない働かされ方をすると分泌もいずれは難しい状態になります。

またインシュリンは糖を細胞内に取り込む鍵のような役割をしますが、これは言い換えるなら細胞内で余分なエネルギーを脂肪に変換させる働きにもつながります。
つまり「太りやすい」というわけです。

また間接的に脂質代謝などの問題を抱えやすくなり、結果として血圧上昇なども招きやすくなります。
これは血管よりも細い管を抱える腎機能にも影響を及ぼし、問題が加速しやすくなると考えられています。

アドレナリンなどのモノアミン系にも(おそらく間接的に)影響し、この結果としてまた血糖値を高めに維持する方向へ誘導が行われるという説も聞きます。

そこで急激な血糖上昇によるリスクを減らす方策として、糖変換の難しいものを中心に食べることを薦めているのが糖質制限を提唱する人たちというわけです。

実際に糖代謝問題を抱える人たち、その何割かの人たちには熱烈に支持されているようで、これはこれで一つの方法なのだろうと私も思います。

ただ当然リスクあるいは問題もあるのでそれも同時に考えてみます。

まず糖質を制限することによるリスクですが、今までやや高血糖にならされていたからだが急激な制限によって、とくに神経系のエネルギー不足を招きやすいことがあげられます。
脳は主に糖をそのエネルギー源として活用しますが、厳密にはケトン体という物質も利用します。
ただしこれを効率よく取り出せるようになるには、やや時間を要します。
つまりなれるまで、しばらく脳の栄養不足が続く可能性がある、ということになります。

次にタンパク質中心の食事に陥りやすい、ということがあります。
なんだ問題ないではないか、と思われるかもしれません。
しかしタンパク質はその中に硫黄や窒素をふんだんに含み、これを切り離して無害な形に合成し、排泄する反応が必須になります。
つまり代謝系に多大な負荷をかける可能性を考慮する必要があるということです。

また低脂肪食は過食を招きやすく、必然的に脂っこいものが多くなる可能性も(経験的に)否定できません。
これは脳という臓器が脂質を好むことからくるらしいのですが、詳しいことはわかっていないようです。

総じて腎機能や肝機能に問題が無く、糖代謝に不安を抱えるような場合はチャレンジも良いかなという感じです。

もちろんベネフィットもリスクも当人に備わった様々な要因に大きく左右されるのはいうまでもありません。

ただ当たり前ですが(特定のケースを除き)どんな方法論にも完全や万能という言葉は当てはまりません。
これと真っ向から対立するかのようなマクロビオティックは、あるタイプの人たちにとってはとても重要な養生法となるでしょうし、どちらをも否定するような方法論も存在するでしょう。

生化学的な考察と臨床的、あるいは個々人の要求が同じ土俵上で語ることができるかどうかは全く別の問題であると考えた方が無難です。
医学は残念ながらハードサイエンスではなく、どちらかというと経験則を科学的手法で説明しようとする学問体系であると言えるからです。

どんな方法もその人に必要なら続けるべきですが、その運用に当たっては細心の注意が必要であると、改めて認識いたしました。

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