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神経圧迫説 再び

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神経圧迫説 再び 2011.0712

このサイトでも(記憶に間違いがなければ)言及していますが、背骨が曲がって、あるいは椎間板の変形が神経根を傷害して痛みやしびれ、あるいは支配下の筋肉や内臓機能などに影響を及ぼす、という説があります。

一見合理的に見えるこの説もいくつかの非論理性が隠れています。

まず脊柱のねじれや椎間板問題によって障害されうるのは、運動と知覚が一緒になったあとの部分です。
つまりもしそのレベルでの障害が問題になるとしたら、知覚障害と運動障害が同時に出現する可能性が非常に高くなります。
しかし臨床家が経験するうち、同じような程度の障害が同時に発生する事はそれほど多いものではありません。

仮に圧迫部位の違いによって神経障害のパターンが変わりうるとしましょう。
圧迫された硬膜袖が内部をそれほどまでに、つまり機能障害を起こすほどに神経断面積を減じる問題というのは、よほど強い外力あるいは特殊な外傷による脱臼レベルでないと考えづらいと思われます。
脊椎が運動によって常に捻られている現実を考えると、なおさら不可解な思いにとらわれる臨床家は私だけではないはずです。

次に、痛みとしびれは全く別の作用機序によって生じる問題であると言う事が挙げられます。
痛みというのは、乱暴にいえばたくさんの刺激が神経状を行き来している状態で、しびれ、特に神経根を含む中枢側レベルの麻痺はそれらの刺激の行き来がないあるいは少なくなった状態という事ができます。
それらが同じ機序によって引き起こされるというのは、バイオメカニクス的には「あり得ない」という事になります。

尤も神経を包む硬膜や周膜にも刺激を受容するメカニズムがあるらしいので、これらが循環障害と相まって痛みを出す可能性もゼロではないと考えます。

いずれにしてもほんの数ミリ以下の位置異常、あるいは椎間板問題による神経障害説はあまり説得力を持つものではないと私は考えます。
脊椎の矯正が体の問題を解決するという事実があるとしても、この説明については一刻も早く再考すべきであると私は考えます。

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