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中枢感作

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中枢感作

聞き慣れない言葉ですが、線維筋痛症における重要なキーワードです。
英語ではCentral Sensitizationといいます。
Central(中枢)が Sensitization(敏感になる)という意味です。

中枢、つまり痛みを処理する部分は最終的には脳という臓器なのですが、ココはよい意味で感覚の処理がいい加減なことが多いのです。
適当な閾値(神経発火を生じる刺激の値)を安定して得るために、脳の中では様々な「鈍感さ」を生じさせるメカニズムが存在します。
これが低すぎるとどんな小さな刺激でも拾い上げてしまい、痛みで疲弊してしまいます。
逆に高すぎると必要な痛みを感じることが難しくなります(これは無痛症という問題の一形態につながります)。

このように中枢神経系において閾値が下がった状態(といっていいのかどうかわかりませんが)によって引き起こされる「過敏な脳」状態を「中枢感作」といいます。

脳についてのおさらいです。

この臓器は

1.強固な構造、頭蓋骨や脳硬膜、脳脊髄液、による耐衝撃性を備えている。

2.酸素と糖というエネルギー源を大量に消費する。

3.高度な処理を行えるように特化している反面、修復がきかないエリアが多い。

4.命令の結果(体の作動状態)がレポートされないと混乱する。

5.体中の情報を(ほぼ)一元的に管理している。

6.よくわかっていないことが多すぎる。

などの特徴を持っています。

構造は左右の大脳半球とそれをつなぐ脳梁。
その中というか下というか、天蓋部分を除いただけでは見えないのが間脳と呼ばれる部分で、視床や視床下部を含むとても大切な部分となっています。
後ろに回って見えてくるのが小脳です。

大脳半球が「思考」を司るとしたら、小脳は「運動」にとても深く関わってきます。
一説にはココにたくさんの運動パターンが刻まれていて、反射的な動きはこの部分に負うところが大きいとか。
また、たくさんの運動をひとまとめにしてなめらかに行わせるというのも小脳が関係してきます。
つまり運動の統合制御中枢、というわけです(正確な表現ではありませんが)。

さてその下にあるのが脳幹とひとまとめに呼ばれる部分です。
上から中脳、橋、延髄と並んでいます。

ここは脳の内部機能がスムースに行われるようにアシストしたり、小脳と大脳を連携させたり、呼吸や消化などの自律機能を司るところとなっています。

上に書いたように感覚の最終処理器官である脳は、複雑な経路によって体の状態をキャッチし、適切な命令(あるいはその一部)を各組織に出し続けます。
しかし受け取る情報のかなりの部分、特に感覚に関する情報、は意識に上らずに処理されます。
そうしないと雑多な刺激にまで反応してしまい、生命活動に支障を来すからです。

そのためのメインメカニズムと考えられているのが、線維筋痛症の項で書いた「セロトニンによる感覚(おもに疼痛)減衰システム」であろうと考えられています。
その脳内産生部は脳幹にあると思われ、研究が進められています。

もちろんこの脳幹も大脳半球をはじめとした複雑なシステムの一部で、一つを取り出して語ることは不可能です。
ただしセロトニンの不足が感覚処理に強い影響を及ぼすことはほぼ間違いなさそうで、中枢感作という状態を作り出す可能性が極めて高いということはいえそうです。

その原因については様々なことが考えられますが、なぜか治良をはじめとした徒手矯正にも反応するケースが少なくありません。
脊髄近くの発火増メカニズムもその一つでしょうし、特定の重金属蓄積による問題もあるのかもしれません。
私の知識では断定するのが難しいですが、神経系の反応を整える(というイメージで治良を進める)と全部ではないものの好ましい効果が現れるように思えます。

たのシステムとの連携を無視できないのは事実ですが、神経系というのが中枢から末梢まで、一つの独立したコンポーネントとして機能しているとみるべきか、と最近は考えます。
私の人体観に著しく反することですが、増え続ける「訳のわからない」あるいは以前“心身相関症”とひとまとめにされ、「甘え」と切り捨てられていた不調感にアプローチできるかもしれない。
そう考え勉強中であります。

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