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上位中枢による制御

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上位中枢による制御

脊髄反射よりさらに上位の制御/反射について考えてみます。

p105

「姿勢の調節と随意運動を明確に区別することは不可能だが、比較的持続性のある静的な姿勢を保持し、かつそれを安定に維持するための一連の反射がある。これを姿勢反射という」

実際問題として、姿勢反射を神経系という枠内だけで語るのは現実との整合性がとれないというのが最近の研究ではいわれているようです。
つまり神経系を走る伝達速度であの瞬間的とも言える立ち直り反応などを説明できないことも少なくないわけです。

とはいえここでは私の勉強のため書いているページなのでひとまず先へ進めてみます。

「多くの姿勢反射は脊髄動物にはみられず、脳幹に反射中枢がある」

脳幹とは人間でいうと頭蓋内に収まっていて、脳の最下部に当たる部分です。
上から中脳、橋、延髄となっています。
この三つは機能的にも構造的にも明確な区別が難しい部分で、あわせて脳幹と考えるのが良さそうです。

さてこの脳幹の上、つまり中脳と間脳の間で人工的に切断することを除脳と言います。
一般的に間脳および終脳を「脳」と規定しているわけですね。

でこの除脳を行うと(猫の場合)伸張反射が著しく亢進すると書いてあります。
つまり中脳以下の中枢において伸張反射の亢進作用があり、脳から上の上位中枢では抑制的に働いている、ということがわかります。

また除脳によって亢進した伸張反射は、当該筋の脊髄後根を切断すると消失するともあります。

脊髄反射1で書いた「γ環」というのを覚えておられるでしょうか。
筋紡錘両端の横紋筋を緊張せしめる、脊髄反射より上位の経路のことですが、この最初がγ繊維による脊髄への入力でした。
これも感覚神経(至後根)の一種ですが、この切断によって除脳による反射亢進がなくなるということは、延髄網様体など脳幹以下から出る亢進指令はγ環に作用する、ということになります。

p106

持続性迷路反射

「除脳固縮の時の四肢筋の収縮状態は体位によって変化する。」とあります。

猫をひっくり返した状態にすると最大収縮状態をとり、伏せされると最小になるのですが、内耳前庭器>>γニューロンに刺激を増加させるためらしいです。
やはり動物ですから体の前面をさらされると弱いのでしょう。

持続性頚筋反射

これもγニューロンに加勢する形で刺激を増加させた結果ですが、除脳固縮中に頚を廻した側の四肢筋が強く反応する現象を指します。
上の反射もそうですが、どちらも延髄前庭核を経由して起きる反射です。

次に同じくp106の“姿勢反射の統合”をみてみましょう。

「姿勢を保持するためには四肢の関節をしっかりと固定しなければならない。そのためには脊髄にみられるような相反神経支配とは別の機序が必要である。」

姿勢を保持すると一言で言いますが、じつに複雑かつ大量のデータ処理が必要になる問題です。
単純に筋力の面から見ても、抗重力筋の適切な緊張に始まり、さらに維持反射に至ってはもう考えるのも面倒なくらいに様々な反応を経なければなりません。

比較的単純な反射を末端近くで行い、それらを複雑に統合し、安定した状態を維持する。
これが上位中枢による「姿勢統合」ということのようです。

また、それらを達成するためには当然他の感覚、視覚や聴覚、触覚なども積極的に参加しますし、味覚や嗅覚も全くの無関係であるとの証明は今のところありません。
たとえば視覚情報と、内耳における加速、傾斜などの情報がずれるだけでもまともに立っていることはできなくなります。
当然それらは本来触覚や深部感覚などのデータと突き合わせが行われ、参照データとも比較しながら目的の反応を維持するわけです。

本を読み読み書いているだけでも訳がわからなくなりそうな感じです。

p107

大脳基底核

これまた私はずいぶんと勘違いをして覚えていたようです。
改めてよく読んでみるに、筋骨格系においてはおおざっぱには上位運動系の翻訳、手順決定システムの中枢であるようです。

大きく分けてGABA作動性の抑制信号と、グルタミン酸作動性の興奮信号を出力し、または入力を受けているようです。
ドーパミン作動性の信号も出力しており、一見しただけでは何が何だかわからない複雑な制御図ができあがっています。

不明な部分も多いのですが、この大脳基底核の機能不全あるいは損傷によって不随運動が強く出始め、適切なコントロールがききづらくなることがあります。
メジャーなところではパーキンソン病に始まり、業界にいないとあまり耳にすることのないハンチントン舞踏病などにも関係していると考えられています。

意図せず起きる運動に対し、抑止的に働きかつ意図的な運動を適切にサポートするのがこの大脳基底核である、と考えて(とりあえずここでは)良さそうです。

位置的には脳脊髄液産生のメインである脳室近くにあり、想像ですが脳圧の変化が安定的に行われていないとき、きわめて影響を受けやすい場所であるように私には見えます。
ただし医学的にも手技療法分野においてもこれらの仮説(の仮説)を証明するレポートは出ていない(少なくとも私はみていない)ことを書き添えておきます。

p108

小脳の運動機能

これまた私などが読んでみても呪文の繰り返しのようにしか見えない説明文だったりしますが、がんばって要約してみると以下のことがうかがえます。

・構造的には脳幹と三対の脚によって接続している。
・その機能の主なものは運動に関することであり、平衡感覚、姿勢維持、随意運動の調整などがある。

とくに小脳皮質のプルキンエ細胞による小脳核への抑制信号は、合目的な筋の使用を円滑に行うために必須の機能であるとあります。

また小脳における特異な機能として運動パターンの蓄積があり、復練習によって上達する体の使い方は、小脳の働きによるところが大きいわけです。

ここで小脳問題を背景に持つ問題を検出するための検査法をご紹介いたします。

小脳問題は運動失調という兆候を表出しやすく、以下のようなテストでそのサインを発見することができます。
もちろん末梢問題や脊髄の病変でも運動失調は出現し得ますが、構音障害というサインの有無で判別可能だと考えられています。

1,つぎ足歩行

運動失調におけるわかりやすいサインとして、体のバランスを保つのが難しいというものがあります。
そしてそれは「足を広げていないと立ったり歩いたりすることが大変」なように見えます。

軽度の場合はこれが発見しづらいのですが、つぎ足歩行テストによって検出されます。

・床の上に線を引く。
・その線上を後ろのつま先を前の踵につけるようにして立たせて、足を入れ替えつつ歩かせてみます。

2,指鼻指試験

まずテストする人が自分の人差し指をテストされる側の1mくらい手前に差し出します。
そして「ご自分の鼻の頭をご自分の人差し指で触れてください」といい触れてもらいます。

つぎに「目の前にある私の指に人差し指で触れてください」と指示します。

1回ごとに自分の人差し指の位置を変えて、数回繰り返させます。
このときテストされる側の動きが十分のスムーズであればOKですが、きちんと触れることができないなどの場合は問題を疑います。

他にもいくつかありますが、構音障害、つまり発声に関わる筋の支配神経機能が不安定で起きる「音を作り出す機能問題」がセットになって起きている場合、小脳病変を疑うべきであると考えられています。

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