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バランスか効率か

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バランスか効率か

よくある質問の一つに「私はバランス悪いですか?」というのがあります。
まあ治良にくる人でバランスがとれている人の方が珍しいわけですが、「あまりよくないですよ」とお答えするにとどめてます。
これは「バランス」という概念を一言で説明できないからです。
外観上の左右差から内部の機能的な問題などにまで及ぶバランスという考え方は、通常イメージされているよりも広い範囲にわたって言及されるべき命題であると私は考えます。

バランスという言葉を辞書で引いてみると「均衡、釣り合い」となっています。
これを人体というシステムに当てはめて考えてみます。
一例として胸鎖乳突筋を挙げてみます。
ここは比較的左右差を検出しやすい筋肉ですが、仮に左の方が右よりも緊張が強いとします。
これはあくまで触診の結果ですが、さらに筋力評価も左>右だ、と仮定してみます。
しかし全身状態はすこぶる良好。
胸鎖乳突筋以外に問題を発見することができなかったという状況を想像してみてください。

これを「胸鎖乳突筋のバランスが悪い」と判断すべきなのでしょうか。
臨床にいる人間の答えは「NO」です。
触診上は問題があるように思えてもそれより上位の必要条件である機能問題が、少なくともその時点その個体で発見できない以上、アンバランスであると結論づけるのは少々乱暴であると思われます。
この状態は言い換えると「システム全体の効率は保持されている」ということです。
“バランスがとれている”というのはこういった側面からも検証すべきでしょう。
ましてや直接胸鎖乳突筋のアジャストメントを行うというのは、一般的なケースまで含めて「不可」というしかありません。

もちろん胸鎖乳突筋の緊張の機能的背景というのが厳然とあって、しかしただ検査に引っかからないだけということも考えられます。
ですがそれを理由に矯正を行うのであれば、納得できる説明というのが必要になります。
患者さんにも、そして自分にも。

より深い問題を探り出し修正しようとするならば、自分自身に曖昧さが一点もなく、その確信にココロも頭も納得することが必須となります。
それがなくただ「左右で状態が同じではない=自分の(浅い)イメージする正しさとは違った」などの不十分な見識で施術を行うのは、治らないだけではなくきわめて危険な行為であることを知っておくべきです。

というわけで皆さんがイメージする「バランス」というは、じつはそれほど気にしなくてもよい場合が多い、というのが私の結論です。

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